KC380020.jpg星砂海岸
西表島への船旅は地獄だった…。
西表へのルートは二つあって、島の東側に到着する大原港行きと、島の北側の上原港へのもの。大原行きは竹富島やら小浜島の間を通るので波も穏やかで時間も短い。対して上原行きは外海を通り波も激しく、天気によっては欠航になるようなルート。
そんな中、船酔いの不安はあったものの、旅行計画としてどうしても上原から上陸せねばならず、酔い止めの薬を服用して船に乗り込んだ。
しかしながら客室が一杯だったので、しかたなく後部デッキの席に座ることに。軽油の臭いはするわ、座席が鉄製なのでエンジンの振動はダイレクトに体に伝わるわで物凄く不安に感じていたら案の定。15分後には後部デッキに座る乗客の半分はグロッキーに…。
うちの奥さんも途中から横になっているし、前の席に座るカップルの女性はトイレに何度も駆け込むしでさあ大変。
そんな状況で、元々車酔いなどをし易い体質である我が身が無事であるはずなく、乗船して30分もする頃には体の中で理性と胃袋が一触即発の事態である。片手にはビニール袋を持ち、来るべき有事に備えてはいるものの、やはり平和が良いことは決まり切っていて、勃発する周りの人々の有事に釣られぬよう、遠く遠くの光景を眺めては深呼吸を繰り返す。
何故か頭の中では海援隊の「思えば遠くへ来たもんだ」がノンストップ・エンドレスで流れ続け、もう何も考えられない状態で息も絶え絶え残り10分を耐え抜き、上原港が見えた頃にはまさしく天国に着いたような気分だった。
そんなグロッキー状態の中、レンタカーを借りていざ西表の旅へ。
西表には信号が二つしか無く、主要な道も県道が一本のみというドライブなのでほぼ迷うことなく進んで行く。
そんな中、最初の目的地である「星砂海岸」へと着いたのだった。
「星砂」は沖縄土産としても有名だけれど、この海岸の砂浜には星砂が大量に落ちているので、最初は探して見つけては喜んでいたものの、次第に飽きられてしまうのもしょうがないところだろう。
当初は泳ぐ気は無かったのだけれど、整備されたビーチとは違う自然のままの海岸と、入り口傍で露店を開いているおばぁの人懐こさに惹かれ潜ることにした。
おばぁからレンタルのシュノーケルを借りて、潜る。砂浜から少し泳いだだけで下には珊瑚礁が広がっていて、色鮮やかな魚たちが元気に泳いでいる。
沖縄人というのに泳げない身としてはシュノーケル初体験でようやく海で泳ぐ(というより潜る)楽しさを感じた瞬間だった。

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